日本の農機具市場は成熟期を迎えており、普及が一巡した状況にある。
農作業の機械化が進み少人数でも作業が行える様になった事も後継者不足に繋がった
農業機械は、日々、更に進化し更なる作業効率を高めてくれていますが価格も上昇、
農家は旧型農機具の更新 or体力の衰えからの廃業、選択の課題に直面している。
この選択の悩ましい背景には、農業で儲からないことに尽きる。
農業従事者の高齢化が進む中、農機具の整備不良も深刻な問題となっていいる。
日本農業機械化協会の調査によると:
高齢農家が使用する農機具に整備不良が見られる
トラクター利用農家の約60%が定期点検を実施していない
調査対象農機具の24%にタイヤの不具合があった
14%の農機具でヘッドランプが点灯しなかった
そんな中で、地球温暖化で猛暑が続くことが想定され、ますます労働環境が悪化しそうだ。
一方、全ての産業域で労働環境を改善する手段としてデジタル技術とAI技術の導入が進む。農業域でも「スマート農業」の言葉で”自動化への道;ロボティクス導入”が思考されている。
その自動化の先導役として無人走行自動運転トラクターがある、価格が1000万円超と高額で大規模農家でないとコスパが合わない。今、嬉しい情報が、手持ちのトラクターや田植え機に”後付け“できる自動操舵が話題になっている。
自動操舵システムは、価格も100万円程度と比較的手頃価格で、既存の農機具に取り付けることができて、衛星航法 GNSS(RTK)技術を利用して自動的に運転操舵を行うもので農作業を大きく改善できる。
自動操舵システムの導入で農作業改善の効果
「明日から農作業が変わる」
スマート農業;農作業の負担軽減に
スマート農業化への農家の受け止めは、ハウス栽培に育成システムを導入した精密施設農業では、いちご、トマト、レタスなどの栽培で高い効果が証明され導入が進んでいて収穫作業も自動化へ向かっている。 水稲・畑作などの土地利用型農業では、機械化は進んだものの、まだまだ身体への負担は大きい。
耕起(こうき): トラクターなどの機械を使用するため、身体的負担は比較的軽減されて います。ただし、長時間の作業による疲労や振動による影響がある。
代掻き(しろかき): 水田作業のため、足場が不安定で身体的負担が大きくなります。また、 長時間の作業による疲労も考えられる。
施肥(せひ): 機械化が進んでいますが、肥料の運搬や長時間の散布作業には身体的 負担がある。
消毒: 農薬散布作業は、防護服の着用や薬剤の被曝による身体的・精神 的負担が大きい。また、猛暑時の作業は熱中症のリスクも高まる。
畝立て(うねたて): 機械を使用する場合が多いのですが、長時間の作業による疲労 があり、手作業の場合は腰への負担も大きい。
マルチ張り: しゃがんだ姿勢での作業が多く、腰や膝への負担が大きく、機械化が普及し始めている。
播種(はしゅ):
かなり機械化が進んでいますが、手作業の場合は長時間のしゃがみ姿勢や細かい作業による負担は大きい。
これらの作業(専用アタッチメント必要)に、トラクターを使った自動操舵システムを導入することにより、条件次第だが一時搭乗の必要はなく炎天下での長時間作業でも疲労を軽減できる。
作業効率の向上
経験の浅い農業者や新規就農者でも、ベテランと同等以上の作業速度と精度が実現できるので、人手不足解消の一助になる。
自動操舵の機種にもよるが、作業により自動走行のパターンは選択できる。

これにより、全体的な作業効率が向上し、作業時間の短縮が可能になる。
多様な人材の活用
GNSS(全地球航法衛星システム)とRTK(リアルタイム・キネマティック)を用いた走行制御は、高精度な位置情報を得る測位手法で、直線走行誤差は2〜3cmと極めて高い、回転時の誤差補正については別の技術が必要だが、これによって操縦が苦手な人や経験の浅い人でも、真っ直ぐにトラクターを操縦することができる。これにより、繁忙期の人員確保が容易になり、労働力不足の解消にも貢献する。
作業精度の向上
GPS、GNSSの位置データを利用することで、長い直線操作や夜間作業の圃場でも±30cm程度の正確な操縦が出来る。さらにRTK技術を加え利用する事で位置誤差2〜3cmの高精度が実現出来る。
RTK (Real Time Kinematic)
RTK、PPP、VRS、Ntripは、GNSS(全球測位衛星システム)を用いた高精度測位技術の関連用語。
GPS,GNSSが「単独測位」であるのに対し、RTKは「相対測位」 で地上に設置した”固定局”と農業機械本体に付く”移動局”の2つの受信機で 4つ以上の衛星から信号を受信し誤差を補正する技術である。
- 座標既知点である固定観測局(基準局)と移動観測局を使用する。
- 基準局から自動操舵機器へ、位置座標と観測情報をリアルタイムで送信する。
- 自動操舵機器では、受信情報と自身の測位値を合わせて即座に高精度な位置を算出する。
- 精度は約1cm程度で、土木・測量業界で広く利用されています。
PPP (Precise Point Positioning)
PPPは精密単独測位と呼ばれる技術:
- 基準局を必要とせず、自動操舵機器とポイント測位受信機と組み合わせ高精度な測位が可能。
- GNSS衛星の精密軌道・時刻推定による補正データを使用し高精度な位置を算出する。
- センチメートルレベルの精度で単独測位を行うことができる。
- 地上の基準局設置が不要で、基準局からの距離の制限を受けずに位置情報を取得できる。
VRS (Virtual Reference Station)
VRSは仮想基準点方式と呼ばれる技術。
複数の電子基準点の観測データーから、 測量現場のごく近傍にあたかも基準点があるかのような仮想的な基地局状態を作り出す技術で、 RTK-GNSS受信機一台で高精度な測量を行うことができる。
Ntrip (Networked Transport of RTCM via Internet Protocol)
Ntripは、インターネットを使用したGPSデータ通信プロトコルで、現在広く使われている方式 :
- 基準局が観測した測位データを基に、移動局(農業機械)に対して補正情報を提供し、これにより数センチメートル単位の高精度な位置測定が可能になる。
- RTCM団体から規格書が発行されています。RTCMデータには、観測データ、衛星航法データ、基準局位置データなど、さまざまなメッセージタイプが含まれている。
- RTCMデータを送受信にインターネットが利用するのでインターネット接続が必須になる、具体的には移動局(農業機械)に設置したスマホで補正情報を受け取りBluetooth等で処理装置に送り操舵を補正している。
後付け式自動操舵装置は、農業機械の効率的な利用を可能にし、労働力不足や高齢化といった農業の課題解決に大きく貢献する技術といえます。
その他の注意事項:
自動操舵装置は、高度な電子装置で通信と機械制御の連携技術であるが、コンピュータ制御に関する知見が特に重要になる。
トラクターと作業アタッチメントとの間で行われるデータの相互接続性を担保する通信規格は、出来れば世界標準のISOBUSに対応している事、自動操舵機の選定には将来の拡張性も重要な要素になる。
お問合せには、ご使用中のトラクターのメーカーと型式のご確認をお願い致します。

日本農林資源開発では、無人運転自動化へのロボット農機もご提案出来ます。

ご質問、お申し込みは、以下のQRコードをスマホで読み取るかクリックをお願いします。
「明日から農作業が変わります。」ロボット農機と後付自動操舵システム

スマート農業を進める農家への国の支援
スマート農業を進める農家への国の支援があります。
農業近代化資金(農水省施策)
意欲ある農業者等が経営改善を図るのに必要な長期かつ低利の資金
お近くのJA、金融機関、日本政策金融公庫支店、沖縄振興開発金融公庫支店へ
https://www.maff.go.jp/j/g_biki/yusi/06/1_0603.html
農業信用基金協会(農林漁業基金)
農業者等の皆様が融資機関から経営に必要な資金を借り入れる際に、農業信用基金協会(地域毎)が、借入債務を保証することによって農業者等の信用力を補完し、借入れを容易にしています。
茨城県農業信用基金協会 https://www.afa-ibaraki.jp/
栃木県農業信用基金協会 https://tochigi-afa.or.jp/
群馬県農業信用基金協会 https://www.acgfa-gunma.or.jp/
埼玉県農業信用基金協会 http://www.saitama-afa.or.jp/
千葉県農業信用基金協会 https://www.chiba-kikin.or.jp/
東京都農業信用基金協会 http://afatk.jatokyo.or.jp/index.html
神奈川県農業信用基金協会 https://www.jakanagawa.gr.jp/kikin/
山梨県農業信用基金協会 https://yamanashi-afa.jp/
長野県農業信用基金協会 https://www.nagano-afa.or.jp/
関東圏以外もここからリンク https://www.jaffic.go.jp/guide/nou/kyoukai_list.html
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